症例紹介
症例紹介:歯周外科およびジルコニアクラウンについて
こんにちは。三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」です。
今回の症例コラムは、当院で行った臼歯部への歯周外科およびジルコニアクラウンについて症例を通してお伝えしようと思います。何か同じようお悩みをお持ちの患者様が少しでもご参考にしていただき、勇気をもって一歩前に踏み出せるようにしていただけたら幸いです。
目次
症例紹介
患者様は24歳、女性の方で主訴は「親知らずを抜歯した方がいいかどうか相談したい」とのことでご来院されました。
当院では親知らずの抜歯の場合はどのような状態で親知らずが埋まっているのかを正確に把握するために、ほとんどのケースでCT撮影を行い精密に調べております。
その結果、現時点では特に何も症状がなく、親知らずの近くを走行している神経および血管に親知らずの根っこが近いこともあって、無理に抜かなくてもいいと判断してそのことを患者様にお伝えさせていただきました。当院ホームページの親知らずのページを参考にしてくださいね!
虫歯発見
しかし、患者様のCT画像をよく見てみると、パノラマレントゲン画像ではわからなかった左上の前から6番目の大臼歯(以下、左上6と表現します。)に大きな透過像を認め、虫歯があることを患者様にお伝えさせて頂きました。患者様の年齢を考慮するとこの先の人生は長く、歯がずっと残るように治療してほしいとのことでしたので、歯周外科治療を伴った歯の治療方法をご提案させて頂きました。
まずは虫歯除去から
まず治療の初めにとりかかったのは、虫歯が実際どれぐらい大きいのかを把握することからでした。レントゲン画像やCT画像から虫歯がどれぐらい大きいのかおよその予想はつくかもしれないのですが、実際の大きさは虫歯を直視しないとわからないです。また私の印象としては、虫歯は画像で見るよりももっと進んでいることの方が多いです。よろしければ参考に当院ホームページの虫歯治療のページも見てくださいね!
実際当患者様の場合、虫歯が神経近くまで進行していたので患者様自身は歯の痛みなどは感じられていなかったのですが、将来的なことを考えると今ここで神経治療(歯の神経を抜くこと。専門用語で抜髄と言います。)をしておくべきだと判断し、承諾していただいた上で神経治療を行いました。
今回の症例において最大の問題
神経治療後、ここでもっとも最大の問題が出てくるのですが、それは虫歯が歯ぐきよりも下の方まで進行しているということです。歯ぐきよりも下の方まで進んでしまっている虫歯は全部除去することが困難です。その結果、虫歯を取り残す形となり再度虫歯が拡がってしまう可能性が高いです。(二次カリエスと言います。)そこでこの事を解決するために歯周外科を行います。
歯肉弁根尖側移動術と歯冠長延長術
歯周外科と言っても色々な術式があるのですが、今回応用したのが、歯肉弁根尖側移動術と歯冠長延長術(クラウンレングスニング、Crown Lengthning)になります。これは簡単に言うと歯ぐきを下げることによって、歯を丸裸にし(表現が不適切ならすいません。)、虫歯の部分を取り除く方法となります。また歯と歯槽骨と歯ぐきにはある一定のルールがあり、そのルールを守るためにも歯冠長延長術をしなければなりません。(これは専門用語で生物学的幅径、Supracrestal tissue attachmentと言うのですが、超専門的な話になるため割愛させていただきます。)また歯周外科を行うと同時に虫歯を取り残さないように除去していきます。
歯周基本治療で下準備
そのため、歯周外科をするための下準備として歯石取りなどの歯周基本治療を行いました。これはどの治療にもつながることなのですが、しっかり歯ぐきが引き締まり良い状態の上で治療をしていかなければなりません。また歯周外科後の治癒の予後にもつながってきます。
歯周外科時
歯の土台(コア)の作製
歯周外科が終了し、歯ぐきの治癒を待ってから歯の土台を作製していきました。(この時歯ぐきの治癒期間としてはおよそ6ヶ月程度待ちます。)歯の土台としてはレジンコアという金属ではなくレジンというプラスチックの土台を作製しました。これは金属の土台に対してレジンの土台の方が歯の弾性係数に近いので、歯の破折やひび割れを起こしにくくなります。
ジルコニアクラウン装着
土台を作成後は歯の形を整えて、歯の型取りを行いました。ここで保険適応の銀歯や白い歯を入れてしまうと、セラミックやジルコニアクラウンと比べてプラークなどの汚れの付着が高くなってしまい、それもまた二次カリエスの原因となってしまうことをご説明させて頂きました。患者様との話合いでジルコニアクラウン【スタンダードタイプ、¥55,000(税込み)】を装着することになりました。これを選択した背景としては、奥歯なので会話時など人から見えにくいこと、審美性があまり求められないことがあります。ただこのジルコニアクラウンスタンダードタイプの欠点としては、決まった色でしか作製することができないので、自分の歯の色に合わせることが出来ないです。(4色の中から自分の歯の色にあったものを選択する形になります。)
写真からもわかるように、しっかりと歯ぐきが引き締まり、健康的な歯ぐきに調和した被せ物を入れさせて頂きました。ここで大事なポイントとしてはいくら歯ぐきと調和した被せ物を入れたとしても歯磨きなどの清掃を怠ってはいけないということです。顕微鏡レベルで見るとどうしても天然歯と比べたら、被せ物と歯との境目が生じてしまい、その境目に汚れが付着しやすくなります。よって歯間ブラシなども使用して丁寧に歯磨きを行うことが治療した歯を長く保つために大事になってきます。
ご自身の歯の価値はいくら?
歯周外科を行うことによって虫歯をしっかりと除去することができます。そのことによって歯の寿命を延ばすことができ、長期的予後が良くなることは自信を持って言えます。
どうしても日本の保険制度内の治療ですと、今回紹介した歯周外科やジルコニアクラウンなどの治療をすることができないです。自費診療になりますので、治療時などその時は治療費が高いかもしれないですが、長期的予後や自分の歯を残せること、ご自身の歯の価値を考えるとかえって安くなると思います。(歯1本の価値はおよそ120万円と言われています。これは歯に関する裁判の判決などで言われています。)その時まとめて高い治療費を払うのが難しいとのことであれば、当院ではデンタルローンをご用意しておりますので、うまく活用していただけたらと思います。【症例ケースによりますが、今回の治療費としては歯周外科治療:約¥110,000(税込み)~、ジルコニアクラウン(スタンダードタイプ):¥55,000(税込み)、それプラス保険診療分となります。】
その時、その時でしか治療できないことがございますので、患者様には納得していい治療を選んでいただけるように、我々当院では患者様をサポート(SPT)致します。
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まとめ
今回は歯周外科およびジルコニアクラウンのことを症例を通してご紹介させて頂きました。ヒトが行うことなので、さすがに一生残せるとまでは言えないところがありますが、少しでも自分の歯を残したい、しっかりと治療したいや他院で抜歯と言われた歯を何とかしたいなど何かございましたら、三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」に是非、御相談ください。