コラム
顎の骨が少ないとインプラント治療は受けられない?必要な治療とは?
こんにちは。三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」です。
「顎の骨が少ないとインプラント治療が受けられない?」と疑問に思っている方もいるでしょう。実際に、顎の骨が少ないためインプラント治療を断られたという話もあります。
しかし、不足している骨を増やす骨造成という治療を行うことで、多くの方がインプラント治療を受けられるようになりました。
今回は、顎の骨の量を増やす骨造成とはどのような治療なのか、治療にかかる費用や治療後の注意点などを解説します。インプラント治療を検討している方は、参考にしてください。
目次
顎の骨が少ないとインプラント治療は受けられない?
インプラント治療は、歯の土台である歯槽骨に人工歯根を埋入して、歯槽骨との結合を促し人工歯を被せる治療です。顎の骨(歯槽骨)と人工歯根が結合しなければインプラントが安定しないので、十分な厚みや量が必要なのです。
歯を失った場合、骨が少なくなっているケースが多いです。
しかし、現状でインプラント治療に十分な骨量がなくても、骨を増やす骨造成を行える場合は治療が可能です。
顎の骨が少なくなるのはなぜ?
顎の骨は、以下のようにさまざまな理由から少なくなってしまいます。
歯周病の悪化
日本人の約8割が歯周病になっているといわれており、歯周病によって歯を失う方も少なくありません。歯周病に感染すると、歯肉だけではなく顎の骨が溶かされてしまいます。
歯周病は重度でないかぎりほとんど自覚症状がないため、定期検診や日ごろのメンテナンスを怠ると悪化しやすい病気です。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりによって過度な負担が歯にかかると、歯を支える顎の骨が吸収されて骨の量が減少します。年齢とともに歯ぎしりや食いしばりへの抵抗力が弱まる傾向があるので、高齢の方は対策が必要なケースもあります。
入れ歯やブリッジの使用
入れ歯やブリッジは、歯に金具をひっかけて支えとしているので、歯に負担がかかります。そのため、歯を支える骨が吸収されてしまうことがあります。
歯が抜けた
顎の骨は歯を支える役割を持っています。咀嚼の刺激などが加わることで、厚みや量を保っているのです。
歯が抜けてその役割がなくなると、顎の骨は減少します。
顎の骨を増やすための治療とは?
インプラント治療で行われる骨の量を増やす骨造成には、いくつか種類があります。主な治療方法をご紹介します。
サイナスリフト法
上顎の骨を増やす治療方法のひとつです。骨の厚みがないため、インプラント体を埋入した際に上顎洞に貫通する可能性がある場合に行われます。
頬側の歯肉を切開してスペースをつくり、そこに骨補填剤を注入して骨を安定させます。サイナスリフトは、上顎の奥歯部分の骨の高さが5mm未満の場合に適用される治療法です。
ソケットリフト法
サイナスリフト法と同じく、上顎の骨を増やす治療方法のひとつです。ソケットリフト法では、インプラント体を埋入する箇所に穴を空けて、そこに骨補填剤を注入して骨の再生を促します。
サイナスリフト法よりも傷口が小さく、痛みや腫れが抑えられる治療法です。また、ソケットリフトは、骨の高さが5㎜以上ある場合に適用されます。
GBR法
GBR法は、骨誘導再生法と呼ばれる方法です。大きな特徴は、骨補填剤だけではなく、患者さま自身の骨を使うことでしょう。
インプラント体を埋入した後に、患者さま自身の骨と骨補填剤を注入して骨の再生を促します。
ソケットプリザベーション
歯を抜歯すると、顎の骨の吸収が進むことがあります。そのため、抜歯した箇所に人工骨を入れて骨の再生を促します。
顎の骨を増やすための治療にかかる費用
インプラント治療は、基本的には自由診療です。そのため、歯科医院によって費用は異なります。
また、検査から治療終了までかかる費用を合わせて一括で請求するトータルフィー制度をとっている場合と、治療の都度費用が発生する場合があります。トータルフィー制度であっても、骨造成は別途費用がかかるケースもあるでしょう。
治療の種類ごとの費用の目安は、以下のとおりです。
サイナスリフト法
サイナスリフト法は歯茎を切開するため、患者さまにとって負担が大きい治療法です。
しかし、ソケットリフト法と比較すると、再生できる骨量が5~10倍というメリットがあります。
費用は15万~30万円が目安です。
ソケットリフト法
ソケットリフト法は、インプラント体を埋入する穴に骨補填剤を注入するシンプルな治療方法です。
費用は3万~10万円と、サイナスリフト法よりも抑えられる傾向があります。
GBR法
適応する範囲が広いGBR法は、患部の状態によって費用が異なります。3万〜15万円が目安です。
ソケットプリザベーション
抜歯によって骨が減少することを防ぐソケットプリザベーションの費用は、5万~10万円が目安です。
顎の骨を増やす治療後の過ごし方
よりスムーズに骨の量を増やし、インプラント治療を成功につなげるためには、骨造成後の過ごし方が重要です。以下の点に注意しましょう。
麻酔が切れるまで飲食を控える
局所麻酔が効いている間は、痛みや熱さなどを感じることができません。そのため、舌や頬を誤って噛むことや熱い飲み物で火傷をしてしまうことがあります。
麻酔が切れるまで、飲食は控えるようにしましょう。
食事の際は治療部位に負担をかけない
食事の際は手術箇所を避けて噛むようにしましょう。治療部位が頻繁に動くと、身体が骨補填剤を異物と認識して骨がうまく再生しない可能性があります。
硬い物も控えるほうがよいでしょう。
また、治療部位に手で触れない、歯磨きの際にブラシを当てないことも大切です。
口腔内を清潔に保つ
傷口の炎症や化膿を避けるために、口腔内を清潔に保つように心がけましょう。
アルコールを控える
アルコールによって血行がよくなりすぎてしまうと、出血や痛みの原因になります。治療後1週間程度はアルコールを控えるようにしましょう。
喫煙を控える
喫煙すると血行が悪くなるため、傷の回復が遅れてしまいます。歯槽骨とインプラント体の結合も妨げられます。
インプラント周囲炎につながることもあるので、できる限り喫煙しないようにしましょう。
入浴を控える
身体が温まると血行がよくなります。シャワーを浴びるのは問題ありませんが、治療後3日程度は湯船につからないでください。熱いお湯も避けるようにしましょう。
運動を控える
血行がよくなると、痛みや出血の原因になります。治療後1週間程度は激しい運動は控えるようにしましょう。
数日は軽い運動も避けたほうがよいとされています。
身体に負担のかからないデスクワークであれば、治療後すぐに仕事をすることは可能です。
しかし、できる限り当日は控え、安静にしたほうがよいでしょう。
強い痛みがある、腫れが治らないといった場合は、次回の診察予約を待たずに歯科医師に相談しましょう。
まとめ
インプラント治療では、人工歯根を埋入するため、顎の骨の量が重要です。骨が足りないことから「このままではインプラント治療はできない」と言われることも少なくありません。
しかし、最近では骨の量が少ない場合でも、サイナスリフト法、ソケットリフト法、GBR法、ソケットプリザベーションといった治療方法により、インプラント治療が可能となりました。
歯を失った場合、骨の量が減少してしまうことがあります。そのため、インプラント治療では骨造成を行うケースが少なくありません。
治療部位や患部の状態によって治療方法が違うので、歯科医師にどのような骨造成を行うのか確認してください。骨造成を含めたインプラント治療を受けた場合は、術後の注意点も守りましょう。
インプラント治療や骨造成を検討されている方は、三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」にお気軽にご相談ください。