三重県伊賀市の歯医者「矢谷歯科医院」です。親知らずの治療、インプラント治療はぜひご相談ください。

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コラム

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抜歯後について その2


Dental equipment holding an extracted tooth

前回は抜歯後の治癒や抜歯後の不快症状の原因などについて述べさせて頂きましたが、今回はその対処方法について書かせていただきたいと思います。

前回のコラムでも述べたように、抜歯後の不快症状の原因で一番多く認めるのはドライソケットになります。おさらいしておくと、ドライソケットは抜歯窩にうまく血餅が作られなく、歯槽骨が露出した状態のことを言います。

ドライソケットにできるだけならないようにするには?

 まず、ドライソケットにできるだけならない方法を挙げます。

抜歯後当日のブクブクうがいは避けるようにする

抜歯後はお口の中が気持ち悪かったり、翌日まで唾液に混ざる程度の出血はあり、少量の出血にもかかわらず唾液に混ざると多量に感じたりすることがあります。うがいを頻繁にすることによって血餅が作られなかったり、血餅ができたのにそれが抜歯窩から脱落してしまう可能性もあります。また逆にうがいをしすぎると再出血して血が止まらなくなることもあります。出血が気になるようでしたら、まずはうがいをするのではなく清潔なガーゼや綿(ガーゼや綿がすぐに用意することが出来なければティッシュでもよい)を厚く折りたたみ手術部位に当てて、20~30分ぐらい強く噛んで圧迫してみてください。

抜歯窩を極力触らない

 抜歯窩は歯が埋まっていた分の穴が開きますので、そこにご飯の食べカスやプラークなどの汚れが溜まって気持ち悪ったり不快です。そこで溜まった物を取ろうとして指で触ったり、爪楊枝でつついたりすることがあります。しかしこれらは出来た血餅を除去してしまう可能性があるため極力触らないようにします。どうしても気持ち悪いようなら、軽くうがいするに留めておくか、抜歯してもらった歯科医院へ行き、抜歯窩を洗浄してもらうと良いです。

その他にも、腫れや術後出血、抜歯窩感染など不快症状に関連することについて気おつけておきたいことを挙げておきます。

歯磨きを避ける

 抜歯当日の歯みがきは必ずしも必要ありません。お口の中が血などで気持ち悪いので歯磨きしたい気持ちは当然出てくるかと思いますが、せめて抜歯当日は歯磨き粉を付けずに抜歯したところ以外を磨くようにしましょう。歯磨き粉を付けて磨かない理由としては、歯磨き粉で磨くと泡立ってうがいがしたくなるからです。

運動や飲酒、長時間の湯船やサウナを避ける

 抜歯後当日は長時間の湯船は避けるようにしてください。理由としては体を温めると血行がよくなり、抜歯窩からの出血が止まらなくなる可能性があるからです。どうしても体を洗いたいようであれば、シャワーをする程度にとどめ、さっと入るようにすれば大概は大丈夫です。とにかく体を温め過ぎないように気をつけていただければと思います。

タバコを避ける

 タバコを吸うと血行が悪くなります。よって酸素が運ばれにくくなり、抜歯窩の治癒が悪くなる可能性があります。インプラントをする際も禁煙が必須条件となるほどタバコは組織の治癒を阻害するリスク因子となりますので、タバコは控えましょう。(体にも悪いですしね。)

食事をする際は麻酔の効果が切れて、口唇や舌の感覚が元に戻ってからにする

 麻酔がとれ口唇、舌などの感覚がもどってから食事を開始しましょう。食事の制限は特にありませんが、抜いた側で食事をすると痛みがありますので、反対側で物を噛むようにしましょう。それとワサビや辛子などの刺激物は傷口にしみて痛いですので、避けるようにしましょう。

柔らかく栄養のバランスがとれた食事をする

 単純に硬い物だと抜歯部位に当たって痛いので、抜歯した数日は柔らかい物を食べるようにしましょう。またお餅などの粘着性の高い食べ物は血餅に引っ付いて取れてしまう可能性があるので避けるようにしてください。

 また抜歯後に早く治す食事としては何がいいかと言うと、コラーゲンの形成を促進するような栄養素が入った食事が大事です。コラーゲン(collagen)は哺乳動物では最も多いタンパク質です。全ての体タンパク質の約30%を占めます。皮膚、骨、腱、軟骨、歯などの主な線維成分であるだけではなく、コラーゲンは結合組織以外にもほとんど全ての組織に存在し、組織の構築と機能に重要な役割を果たしています。(参照:早川太郎 著 「口腔生化学 第3版」医歯薬出版株式会社)

 ではコラーゲンの形成に必要な栄養素として一般的には以下のような物が各当します。

  1. タンパク質:タンパク質が多い食べ物として鶏肉、魚(サーモンやマグロなど)、豆腐や豆乳などの大豆製品や乳製品、卵などを使用した料理がいいです。
  2. ビタミンC:ビタミンCはコラーゲンの形成に必要です。食品で言うとアセロラやピーマン、ゴールデンキウイ、ブロッコリーに多く含まれています。(可食部100gあたりのビタミンC含有量)ビタミンCと言えばレモンのイメージがあるのですが、可食部100gあたりで言うと以外と少ないみたいです。
  3. 亜鉛:亜鉛もコラーゲンの形成に必要です。亜鉛で最も多く含まれているのは牡蠣です。(食材100gあたりの亜鉛含有量)しかし、牡蠣をすぐ食べることは中々難しいかもしれません。亜鉛は肉や魚にも含まれていますし、ナッツやチーズ、チョコレート類など間食として手軽に摂取できる物がいいかもしれないです。ちなみに亜鉛不足になると味覚障害を招きますので、こちらも気をつけたいところですね。
  4. 鉄:鉄分も組織の合成には必要です。鉄不足は貧血も招きます。(鉄欠乏性貧血)鉄分の多い食品として、肉(赤身)や魚介類(まぐろ、いわし、かつお、赤貝)、野菜類(小松菜、ホウレンソウ)、納豆や大豆などが挙げられます。鉄欠乏性貧血の場合は食品から摂取するのではなく。処方薬やサプリメントからの摂取がいいです。(その前に医療機関受診を!)

抜歯部位を冷やす

 抜歯部位を冷やすことによって、神経が過敏になっているのを抑えることができ、疼痛を緩和することができます。しかし、冷やし過ぎもよくありません。冷やし過ぎると血行不良が起こり、抜歯窩の治癒を遅延させる可能性があります。よって程よく冷やすことを心掛けましょう。手術部位の腫れのピークは2~3日後でありそこから日にち薬で徐々に腫れが治まってきます。3~4日経過しても痛みや腫れが悪化する場合は医療機関を受診しましょう。

処方された化膿止めや痛み止めをきっちりと服薬する

 処方された化膿止めや痛み止めはきっちりと服薬するようにしましょう。化膿止め(抗生剤)は抜歯後感染を予防するため、痛み止めは消炎鎮痛剤ですから炎症を抑えるので痛みを抑える以外にも、腫れを引かすなどの効果もあります。ただし痛み止めの飲みすぎは胃を荒らす可能性があるため、必要以上に服薬はしないよう心掛けるようにしましょう。

虫歯や神経治療は親知らずの抜歯前に治療する

 親知らずとその手前にある歯の間に大きな虫歯が出来ていると、小さな虫歯ですと大丈夫なのですが、大きい虫歯になっていると親知らずの抜歯後に手前の歯がしみて痛い症状が発現することがあります。虫歯の大きさの度合いや治療方針にもよるとはおもうのですが、大きな虫歯が出来ている場合は先に虫歯治療あるいは神経治療をする方がいいかもしれないです。

指定された日時には抜歯部位の消毒や糸抜き、経過観察に行くようにしましょう

 埋まっている親知らずを抜歯後は切開した部分を医療用の糸で縫合します。縫合糸は吸収性もあるのですが、大概は非吸収性の絹糸になりますので、放置しておくと糸にプラークや食渣が絡まり汚染され抜歯後感染のリスクが上がります。抜糸の目安としては抜歯後1週間前後になります。抜歯部位の消毒や糸抜き、経過観察はきっちりと行くようにしましょう。

まとめ

以上のように、抜歯後の痛みや不快症状を少しでも下げるための対策を記載してみました。患者様にお読みいただき役立てていただけますと幸いです。

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