コラム
奥歯をインプラントにするメリットとデメリット!治療法と注意点も詳細に
こんにちは。三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」です。
奥歯のインプラント治療は難しいという話を耳にしたことがある方がいるのではないでしょうか。実際に奥歯をインプラントにするのは難しいのでしょうか。
今回は、奥歯をインプラントにするのは何故難しいのか解説します。奥歯をインプラントにするメリットやデメリット、治療をする際の注意点も解説しますので、奥歯をインプラントにしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
どこからどこまでが奥歯?
永久歯は通常28本ありますが、この歯の中でどこからどこまでが奥歯なのかご存じでしょうか。
奥歯は臼歯と呼ばれています。臼歯には大臼歯と小臼歯が2本ずつあり、それぞれ第一大臼歯・第二大臼歯・第一小臼歯・第二小臼歯といいます。位置としては、奥から数えて4番目の歯までが奥歯で、上と下、それぞれ8本ずつあります。
奥歯のさらに奥に親知らずがあるのですが、この歯は抜歯しても問題はありません。そのため、インプラント治療を行うケースはないでしょう。
奥歯の役割
奥歯は臼(うす)という文字で表現されていますが、これは食べ物をしっかり噛んですりつぶすという意味があるからです。しっかりすりつぶすことで、食べ物を消化しやすくし、胃腸への負担を軽減します。
また、お口全体のバランスの維持も奥歯の大きな役割です。奥歯がなくなると、噛み合わせが悪くなり、バランスが崩れて、顔の輪郭にも変化が生じます。
このように、大切な役目を担う奥歯ですが、欠損することもあります。それは、前歯と比較して歯磨きがしにくく、虫歯になりやすいためです。また、強い力がかかるので場合によっては欠けたり折れたりすることもあるでしょう。
奥歯のインプラント治療は難しい?
実際に奥歯のインプラント治療は可能かというと、状況によって異なります。インプラント治療ができることがあれば、できないこともあるのです。
奥歯のインプラント治療が難しいといわれる理由は、以下の通りです。
奥歯には強い力がかかるため
前歯と比較して奥歯は噛む際に大きな力がかかります。場合によっては自分の体重以上の力がかかるので、インプラントが破損するリスクがあるでしょう。また、顎が痛くなったり、口が開きにくくなったりする顎関節症を発症する可能性もあります。
そうしたリスクがあるため、奥歯のインプラント治療は難しいといわれているのです。
開口量が小さく手術器具が入りにくいため
奥になればなるほど、口の中は狭くなり、開口量が小さくなります。
インプラントを埋入するためには、手術器具を口の中に入れる必要がありますが、あまりにスペースがないと手術器具が入りません。特に一番奥の第二大臼歯を治療する場合は手術器具が入りにくいため、難しいといわれているのです。
上顎の奥歯の骨が薄いため
上顎の奥歯の骨が薄いことも、インプラント治療が難しいといわれる理由です。インプラント体を埋め込み、しっかりと固定させるためには顎の骨の厚みが必要です。
しかし、上顎の奥歯の上には空洞があることから、骨が薄い場合があります。そのため、インプラント体が固定されないリスクがあるのです。
角化歯肉が少ないため
安全にインプラント手術を行うためには、最低でも2mmの硬い歯茎である角化歯肉が必要とされています。第二大臼歯付近は角化歯肉が少ない傾向があるため、治療が難しいといわれているのです。
下歯槽神経を傷つけるリスクがあるため
下顎を通っている神経である下歯槽神経が傷つくと、感覚が鈍くなる可能性があります。そのため、インプラント治療ではその位置を正確に把握する必要があります。下歯槽神経は奥歯に近い位置にあるため、インプラント治療が難しいといわれているのです。
奥歯のインプラント治療のメリット
奥歯をインプラントにするメリットは、以下のとおりです。
他の歯に負担がかからない
入れ歯やブリッジの場合は両隣の歯を支えにするため、負担がかかります。
一方でインプラントの場合は、顎の骨に人工歯を埋め込むため、周囲の歯に負担がかかることはありません。そのため、他の歯の寿命が短くなるのを防ぐことができるのです。
自分の歯のように噛める
インプラントは顎の骨と結合しているため、入れ歯やブリッジよりもしっかりと噛めます。自分の歯と同じように噛めるので、食事を楽しめるのです。
胃腸への負担を軽減できる
奥歯は食べ物を噛み砕く際に重要な役割を担っています。そのため、奥歯を1本でも失うとこれまでのようにしっかり噛み砕けなくなるでしょう。
インプラントで奥歯を補うことで、歯を失う前と同じようにしっかりと噛み砕くことができるようになり、胃腸への負担を軽減できます。また、硬い野菜やお肉などもしっかり噛めるようになるため、栄養バランスのよい健康的な食事を摂りやすくなります。
見た目が良くなる
部分入れ歯の場合、奥歯であっても金属のバネが目立つことがあります。
一方でインプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せる治療法です。人工歯根は歯茎に埋め込まれるため、目立つことがありません。また、人工歯部分にはセラミックなどの審美性が高い素材が使用されるため、天然歯のような自然な見た目になります。
人前で口を開けても目立ちにくいため、コンプレックスに感じることはほとんどないでしょう。
痛みがほとんどない
入れ歯やブリッジの場合、粘膜などにこすれたり、歯が締め付けられたりして、痛みが生じることがあります。
一方でインプラントの場合は、顎の骨に埋め込まれており、ズレることがありません。また、歯茎と人工歯の間にすき間がないため、食べかすが挟まることによる痛みもないでしょう。
発音に影響がない
入れ歯の場合、はずれやすかったり、床部分に厚みがあったりすると発音しにくいと感じることがあるでしょう。
一方でインプラントの場合は、顎の骨にしっかりと固定されていてズレることがないため、発音に影響が出ることはないでしょう。
奥歯のインプラント治療のデメリット
奥歯をインプラントにする際には、以下のようなデメリットもあります。
骨造成が必要となるケースがある
奥歯には前歯以上に大きな力がかかるため、インプラント体と顎の骨をしっかりと結合させる必要があります。そのため、顎の骨の高さを補うために骨造成が必要となるケースも少なくありません。骨造成を行うと、その分治療期間が長くなり、費用もかかります。
費用は高額になる
奥歯に限らず、多くの場合、インプラント治療は自由診療です。自由診療のため歯科医院によって費用は異なりますが、1本あたり30万~50万円程度が相場で、他の治療法よりも費用がかかる場合もあります。
治療期間が長い
インプラント治療は手術が必要であり、インプラントと顎の骨が結合するまで待たなければならないため、治療期間が長いです。早く治療を終えたいという方にとって治療期間が長いという点はデメリットといえるでしょう。
奥歯のインプラント治療をする際の注意点
奥歯のインプラント治療をする際は、まず治療自体が可能かどうか確認する必要があります。また、上述のとおり治療が難しいといわれるケースが多いため、治療経験が豊富な歯科医師に依頼するとよいでしょう。いくつかの歯科医院でカウンセリングを受け、比較検討してください。
インプラント以外の奥歯の治療方法
インプラント以外で失った奥歯を補う治療方法としては、入れ歯とブリッジがあげられます。双方ともに自由診療だけではなく、保険診療も選択できるので、費用を抑えたい場合は、入れ歯やブリッジを選択するのもよいでしょう。
ただし、保険診療の場合は、耐久性が低いため、短い期間で再び治療が必要となることもあります。
自由診療の入れ歯やブリッジには様々な選択肢があります。見た目に配慮したものや噛みやすいものなどがあるので、患者さんのお口の状態や好みに合わせて選択してください。
まとめ
奥歯をインプラントにすると、しっかり噛めるようになります。また、周囲の歯に負担がかかることがありません。
一方で、費用が高額である点や治療期間が長い点はデメリットといえるでしょう。奥歯のインプラント治療は、開口量が小さく手術器具が入りにくかったり、上顎の奥の骨が薄かったりすることから難しいといわれています。
場合によっては奥歯のインプラント治療が受けられない可能性もあるかもしれません。奥歯をインプラントにできるかは、歯科医師に相談してください。
インプラント治療を検討されている方は、三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」にお気軽にご相談ください。