コラム
親知らずはどうやって抜く?抜き方と抜いたあとの注意点!
こんにちは。三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」です。
親知らずは、斜めに生えることや埋まっていることでさまざまな問題を引き起こす可能性があります。そのため、適切な時期に抜歯する必要があるのです。親知らずを抜くケースや抜き方について気になる方もいるでしょう。
今回は、親知らずを抜くケースや抜き方、抜いたあとの注意点について詳しく解説します。
親知らずとは?
親知らずは永久歯の一つで、通常は15歳頃に歯の一番奥に生えます。これらの歯は智歯(ちし)や第三大臼歯とも呼ばれ、32本の永久歯を構成する一部です。
しかし、すべての人に親知らずが生えるわけではなく、完全には生えないケースもあります。
親知らずは虫歯や炎症などのトラブルが起こりやすいといわれています。親知らずが生える際には歯肉が炎症を起こすことや腫れることがあり、プラーク(歯垢)が蓄積すると虫歯になることがあるのです。
歯肉炎を引き起こすこともあり、隣接する歯に影響を及ぼすことや歯並びが悪くなる原因にもなります。
親知らずを抜くケース
親知らずがほかの歯に影響を与えず、まっすぐに生えている場合は無理に抜く必要はありません。
しかし、斜めや横向きに生えていることで、腫れや痛みなどのトラブルが発生している場合は、親知らずを抜くことがほとんどです。
親知らずを抜くケースについて、以下に解説します。
親知らずが斜めに生えている
親知らずがまっすぐではなく、斜めに傾いて生えている場合は、抜歯の対象になります。斜めに生えている状態を放置すると、虫歯や歯周病のリスクが高まり、さらには隣の歯を押すことで歯並びにも影響を及ぼす可能性があるためです。
斜めに生えた親知らずは、歯ブラシやデンタルフロスでの清掃が難しく、歯垢や食べかすがたまりやすいため、虫歯や歯周病の原因になり得ます。また、不適切な位置に生えた親知らずは、隣接する歯に圧力をかけ、歯並びに影響を及ぼす可能性があるのです。
親知らず周囲の歯茎が腫れている
親知らずの周囲の歯茎が腫れている場合は、早急に抜く必要があります。
親知らずの周囲の歯茎が腫れている状態を智歯周囲炎といい、放置すると痛みが生じる場合や感染が拡大する場合があるのです。さらにはほかの歯に影響を及ぼす可能性もあります。
歯茎の腫れは、親知らずが適切な位置に生えていない、または清掃が十分に行われていないことが原因で起こることが多いです。
痛みが生じている
親知らずが粘膜や歯茎に接触して傷を作り、痛みが生じている場合も抜く必要があります。
痛みが生じている場合は、親知らずが適切な位置に生えていないことが多いです。適切な位置に親知らずが生えていないと口内に摩擦や圧力を与え、粘膜や歯茎に炎症や傷が生じ、痛みや不快感を引き起こすことがあります。
親知らずにより顎関節症を引き起こしている
親知らずが原因で顎関節症を引き起こすこともあります。放置すると悪化する恐れがあるため、原因となる親知らずを抜く必要があるのです。
親知らずの位置が顎の動きに影響を与え、噛み合わせのバランスが悪くなると、顎関節に過度な負担がかかります。その結果、痛みや顎の動きに制限が生じ、長期的な顎関節の問題へとつながる可能性があるため、抜いたほうがよいのです。
嚢胞がある
レントゲン検査で顎の骨に埋まっている親知らずの周囲に嚢胞が確認される場合、トラブルが発生する前に抜くことがあります。
嚢胞は、歯や歯茎の周囲にできる液体を含んだ袋状の構造で、放置すると大きくなり、顎の骨や周辺の歯に悪影響を及ぼす恐れがあるのです。
嚢胞は外部からは見えにくいため、早期発見のためには定期的にレントゲン検査を受ける必要があります。嚢胞が見つかった場合、大きくなるのを防ぎ、顎の健康を保つためにも、歯科医師は抜歯を推奨することがあるのです。
親知らずの抜き方
親知らずを抜くことになった場合、どのような手順で抜歯をするのか気になる方もいるでしょう。
ここでは、親知らずの抜き方について解説します。
検査を行う
最初の受診でいきなり親知らずを抜くことはありません。
親知らずの生え方や根の状態を正確に把握するため、事前にレントゲン撮影を行います。特に下の親知らずは、血管や神経に近い部分に生えていることが多く、慎重にその位置関係を確認しなければなりません。
親知らずが生えている位置を事前によく確認することで、抜歯時のリスクを最小限に抑え、安全に処置を行えます。親知らずの抜歯は繊細な処置であるため、事前の準備と計画が非常に重要なのです。
麻酔をする
親知らずを抜く際、稀に全身麻酔や静脈内鎮静法を用いるケースもありますが、基本的には浸潤麻酔(局所麻酔)で行われます。浸潤麻酔は、抜歯時の痛みを最小限に抑えるための注射です。
注射針による痛みを軽減するために、まず表面麻酔を行います。表面麻酔は、麻酔注射前に行う処置です。針を刺す部分を麻酔することにより、注射時の痛みを軽減します。
注射時には圧を感じることがありますが、針を刺すときの痛みは軽減されるため、患者さんの不安や苦痛は少なくなるでしょう。
親知らずを抜く
まっすぐに生えている親知らずの抜歯は比較的単純です。抜歯鉗子(ばっしかんし)と呼ばれる専用の道具を用いて、歯を歯槽骨から脱臼させ、そのまま抜き取ります。
一方、斜めに生えている場合や埋まっている場合、抜歯の手順はより複雑です。まず、歯茎を切開し歯を露出させたあと、歯を囲む顎の骨を削ります。その後、歯の頭の部分と根の部分を分割し、それぞれを順に抜去するのです。
抜歯窩を洗浄する
歯があった部分に付着している組織や骨の切削片を専用の器具を用いて慎重に掻き出します。この過程で、抜歯窩の残存物をなくし、きれいにするのです。
その後、生理食塩水で傷口を洗い流します。傷口を生理食塩水で洗い流すことで、抜歯後の感染リスクを減らすことができるのです。
傷口を縫合する
切開した歯茎を縫って、傷口を閉じます。かさぶたの形成を促すために、できるだけ小さく縫合します。
圧迫止血する
親知らずを抜いたあとの痛みや腫れを最小限に抑えるためには、ガーゼを噛んで圧迫止血を行うことが効果的です。圧迫止血を行うことで抜歯後の出血を減らし、同時に腫れを抑制できます。
服薬・消毒する
親知らずを抜いたあとは、抗生物質と鎮痛剤が処方されることが一般的です。抗生物質は、処方された日数分を必ずすべて飲み切る必要があります。処方された抗生物質をすべて飲み切ることで、感染のリスクを最小限に抑えることができるのです。
また、抜歯時に使用される麻酔は約1~3時間で効果が切れ始めます。痛みが心配な場合は麻酔が切れる前に鎮痛剤を服用するとよいでしょう。抜歯の翌日には、腫れや感染がないかを確認し、必要に応じて消毒を行います。
必要に応じて抜糸する
親知らずを抜いたあと、通常1週間程度で傷口はほぼ塞がります。縫合時に自然に吸収される糸を使用した場合、抜糸の必要はありません。
しかし、自然吸収されない糸を用いた場合には、抜歯後1~2週間で抜糸する必要があります。
親知らずを抜いたあとの注意点
親知らずは虫歯治療と異なり、大がかりな治療になることが多いです。そのため、親知らずを抜いたあとには注意しなければならないことがあります。
親知らずを抜いたあとの注意点は、以下のとおりです。
処方された薬は指示どおりに服用する
親知らずを抜いたあとは、歯科医師から処方された抗生物質と鎮痛剤を指示どおりに服用しましょう。
鎮痛剤は痛みが出る前、具体的には麻酔が切れる前に服用することで、効果が発揮されます。抜歯後の痛みが治まれば鎮痛剤の服用を止めても問題ありません。
一方で、抗生物質は処方された全量を必ず服用する必要があります。抗生物質を服用することで、抜歯後の感染を予防し、合併症のリスクを減らせるのです。処方された抗生物質の服用を途中で止めると、細菌感染のリスクが高まるでしょう。
血行を促進する行為は避ける
親知らずを抜いたあと、血行を促進する行為は避けましょう。血行がよくなると出血しやすくなるため、運動や長時間の入浴、アルコールの摂取は控える必要があるのです。
血行がよくなると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
- 腫れや痛みが強くなる
- 血が止まりにくくなる
- 傷の治りが悪くなる
- 炎症が起こる
これらを避けるためにも、抜歯後の2~3日間は安静に過ごしましょう。
うがいは弱めに行う
抜歯後のうがいには注意しましょう。
抜歯直後には傷口から出血が見られますが、やがて血餅(けっぺい)という血の塊が形成されます。血餅が傷口を覆って内部を保護することで、傷の治癒が促進され、細菌感染のリスクを減らせるのです。
しかし、頻繁にうがいをすると、この血餅が剥がれて流れる恐れがあります。その結果、傷の治りが遅くなる場合や、細菌感染のリスクが高まる場合があるのです。そのため、抜歯後24時間程度は、うがいは弱めに行いましょう。
痛みや腫れが続く場合は歯科医院に連絡する
抜歯後に痛みや腫れが続く場合は、歯科医院に連絡しましょう。
親知らずを抜いたあと、よく見られる症状の一つが頬の腫れです。腫れを軽減するためには、患部を濡れタオルで軽く冷やすと効果的ですが、冷やしすぎると血液の循環が悪くなり、かえって腫れの回復を遅らせる可能性があります。
抜歯後の腫れは一般的には自然に治まりますが、腫れが酷くなる場合や痛みが続く場合には、歯科医院に連絡し、適切に対処してもらいましょう。
喫煙を控える
親知らずを抜いたあとは、喫煙を控えましょう。タバコを吸うと傷の治りが遅くなり、また細菌感染のリスクが高まるためです。
タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があります。血流が悪くなると必要な血液が傷口に行き届きにくくなり、抜歯部位の傷の治りが遅くなるのです。
また、喫煙は免疫力を低下させるため、抜歯した傷口からの細菌感染のリスクも高まります。これらのリスクを避けるためにも、親知らずを抜いたあとは、傷口が完全に塞がるまで禁煙しましょう。
まとめ
今回は、親知らずを抜くケースや抜き方、抜いたあとの注意点について詳しく解説しました。
親知らずがまっすぐに生えている状態であれば、無理に抜く必要はありません。
しかし、斜めに生えている場合や親知らずの周囲が腫れている場合、痛みがある場合などには、抜歯することがあるのです。
親知らずを抜くときは、神経などを傷つけないために、事前にしっかりと検査を行います。麻酔をしてから、親知らずを抜くため、痛みを感じることはほとんどありません。
親知らずを抜いたあとは傷口ができるため、刺激を与えないよう、うがいは弱めに行うことや、入浴・運動・喫煙などを控える必要があります。詳しくは担当の歯科医師の指示に従いましょう。
親知らずの抜歯を検討されている方は、三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」にお気軽にご相談ください。