コラム
歯科衛生士の役割と働く場所とは?働き先を選ぶポイントも紹介!
こんにちは。三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」です。
歯科衛生士の仕事に興味がある方のなかには「歯科衛生士が働く場所は?」「働く場所ってどうやって選んだらいいの?」という疑問をおもちの方もいるでしょう。歯科衛生士の仕事は、どこで働くかによってメインの業務が異なる場合があります。
今回は、歯科衛生士の働く場所とそれぞれのメリット・デメリット、働く場所の選び方について解説します。
目次
歯科衛生士の役割
「歯科衛生士ってどんな仕事をするの?」「歯科医師とは何が違うのだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。
まずは、具体的な歯科衛生士の仕事内容を確認しましょう。歯科衛生士の仕事には、大きく分けて以下の3つがあり、これを歯科衛生士の三大業務と呼びます。
- 歯科予防処置
- 歯科診療補助
- 歯科保健指導
一つずつくわしく解説します。
歯科予防処置
歯科予防処置とは、虫歯や歯周病を予防する処置のことで、おもに以下の4つがあります。
- スケーリング
- PMTC
- フッ素塗布
- シーラント処置
スケーリングとは、歯の表面についた歯垢や歯石をスケーラーと呼ばれる専用の機械を使って掃除することです。歯石は硬いため歯ブラシでは取り除くことができません。そのため超音波スケーラーやハンドスケーラーを使用して歯石を落とします。
PMTCとは普段の歯磨きでは落とせない汚れをブラシや研磨剤を使って落とすことです。この2つを行うことで、虫歯や歯周病の原因となる細菌の繁殖を抑える効果が期待できます。
また、歯科衛生士はフッ素塗布やシーラント処置なども行います。これらは特に子どもの虫歯予防のために行われるものです。フッ素を歯に塗ることで、歯質を強くする効果が期待できるため、生えたばかりの柔らかい子どもの歯を虫歯菌から守れる可能性が高まります。
シーラントは奥歯に行う処置です。奥歯の溝をシーラントと呼ばれるコーティング剤であらかじめ埋めておくことで磨き残しや細菌の繁殖を防ぐ効果があります。
歯科診療補助
歯科診療補助とは、歯科医師の診療をサポートすることです。診療を円滑に行うための一連の業務のことで、例えば、診療に使う器具の準備や患者様への説明、歯型をとることなどが業務に含まれます。
ただし、麻酔注射や抜歯、歯茎の切開などは歯科医師にのみ許された医療行為のため、歯科衛生士は行うことができません。
歯科保健指導
歯科保健指導とは、歯の磨き方の指導をしたり、口内の健康を守るための食生活のアドバイスをしたりすることです。
虫歯や歯周病を予防するためには、歯医者でスケーリングやPMTCなどを定期的に行うことも大切ですが、それと同時に患者様自身に行っていただく毎日の歯磨きも非常に重要です。
患者様一人ひとりに歯ブラシの使い方の癖やライフスタイルなど違いがあるため、それぞれに合わせた指導をする必要があります。患者様自身が適切なケア方法を身につけられれば、さらに虫歯・歯周病予防の効果が高まるでしょう。
歯科衛生士になるには
歯科衛生士になるためには、高校を卒業後、文部科学大臣指定の歯科衛生士の養成機関で最低3年間学び、決められた科目を修得する必要があります。
歯科衛生士には国家資格が必要で、養成機関を卒業できなければ受験資格を得ることができません。国家試験は年に1回行われ、毎年3月初旬に実施されます。国家試験に合格すれば晴れて歯科衛生士として働くことができます。
また、専門学校には夜間コースを設けているところもあるので、一般企業で働いている社会人の方が歯科衛生士を目指すことも可能です。
歯科衛生士が働く場所とそれぞれのメリット・デメリット
歯科衛生士の勤務先には、以下のような場所が挙げられます。
- 歯科クリニック
- 大学病院・総合病院
- 介護施設
- 保健所・保健センター
- 医療関係の企業やメーカー
勤務先ごとのそれぞれのメリットとデメリットを解説します。
歯科クリニック
歯科衛生士のおよそ90%以上の勤務先が歯科クリニックです。業務は三大業務の歯科予防処置・歯科診療補助・歯科保健指導がメインで、軽度な症状やトラブルの相談が多く、気軽に患者様が受診できる場所です。
歯科クリニックで働くメリットは求人数が多いことです。基本的に全国どこにでも歯科クリニックはあるので、場所を選ばずに働くことができるという魅力があります。
一方で、土日の連休を取りにくいということはデメリットといえるでしょう。多くの歯科クリニックでは、土日のどちらかと平日の1日を休診日としているため、土日の両方をお休みにするのは難しいかもしれません。
大学病院・総合病院
大学病院や総合病院で歯科衛生士として働くという選択肢もあります。大学病院は一般の歯科クリニックから難しい症例の患者様を紹介されることが多くあります。
そのため、虫歯治療や歯周病治療などの一般診療に加え、口腔外科の知識などが必要となったり、ほかの科と連携をとりながら診療を進めていく必要があったりします。
大学病院や総合病院で働くメリットは、難症例に対応するため幅広い知識が身につけられることや、一般的な歯科クリニックで働くよりも給与が高い傾向があることなどが挙げられます。
一方、歯科クリニックに比べて求人数が少ないため就職が難しいことや、さまざまな知識が必要となるため勉強することが多いことなどはデメリットといえるでしょう。
介護施設
歯科衛生士を募集している介護施設もあります。介護施設では、施設を利用されている方の口腔内を清潔に保つ業務を中心に行います。
介護施設で働くことのメリットは、高齢者の口腔ケアの専門的な知識が身につけられることや、勤務時間が細かく決められており、イレギュラーの出勤などが少ないことが挙げられます。
一方で、求人数が少ないことや給与がほかの勤務先に比べると少ない傾向にあるということはデメリットといえるでしょう。
保健所・保健センター
歯科衛生士には民間の歯科クリニックなどで働く以外に、保健所や保健センターで公務員として働くという選択肢もあります。公務員の歯科衛生士として働くためには、歯科衛生士の資格を取得後、国家公務員試験や地方公務員試験に合格する必要があります。
保健所や保健センターで働く歯科衛生士の業務内容は、歯科予防相談や乳幼児のブラッシング指導などです。乳幼児の保護者に向けての虫歯予防セミナーなどを行うこともあります。
保健所や保健センターで働くことのメリットは、公務員であるため福利厚生や保障面が充実していること、生涯年収が高いことなどです。
一方で、求人数が少ない点や、歯科衛生士の資格に加えて公務員試験に合格しなければいけない点などはデメリットといえるでしょう。
医療関係の企業やメーカー
歯科医療機器などの開発や販売に携わる医療関係の企業やメーカーに就職する歯科衛生士もいます。
実際に患者様を診るのではなく、歯科医師や歯科衛生士などの医療従事者を相手にすることが多いでしょう。歯科医院などへ営業を行ったり、商品開発、セミナーの講師などをしたり業務は幅広いです。
メリットは一般企業のため福利厚生が充実している場合が多いことや、歯科衛生士の経験を活かした新たなキャリアを築けることです。
一方で、求人が少ないことや歯科衛生士としての業務経験が必要になる点はデメリットといえるでしょう。
歯科衛生士が働く場所を選ぶときのポイント
歯科衛生士として働く場所を選ぶときのポイントは、以下のとおりです。
- 仕事内容が合っているか
- 勤務条件に満足できるか
それぞれ解説します。
仕事内容が合っているか
歯科衛生士は、歯科クリニック・大学病院・介護施設・保健所など働く場所によってメインとなる業務に違いがあります。
一般診療以外にもほかの科と連携しながら働きたい、全身管理の知識を得たいという方は大学病院のほうが向いているかもしれません。また、歯科クリニックによって小児歯科に力を入れているクリニック、矯正治療を専門としているクリニックなど仕事内容はさまざまです。
歯科衛生士として長いキャリアを考えたときに、どのような知識が身につけられるのか、仕事内容は合っているのかを考えておくといいでしょう。
勤務条件に満足できるか
働く場所や勤務時間、給与などの勤務条件に満足できるかどうかも重要です。十分な賞与や給料は働くうえでのモチベーションになります。また、女性は結婚や出産などのライフステージの変化で求める条件が変わることもあるでしょう。
出産後、時短勤務が可能かどうかや休日がどれくらいとれるかは働く場所によって異なりますので、事前に確認しておくのがいいでしょう。
まとめ
歯科衛生士には大きく分けて、歯科予防処置・歯科診療補助・歯科保健指導の3つの役割があります。
養成機関を卒業後、国家試験に合格した歯科衛生士の多くは歯科クリニックに就職します。求人数は歯科クリニックに比べて少ないものの、それ以外の就職先としては大学病院や総合病院、介護施設、保健所などが挙げられます。
それぞれに仕事内容や、メリットデメリットが異なりますので、今回の記事を参考にどのような場所で働きたいか一度よく検討してみてください。
当院では歯科衛生士を募集しています。歯科衛生士の仕事にご興味をおもちの方は、三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」にお気軽にご相談ください。