コラム
歯周病治療の費用はいくらかかる?基本的な治療の流れと方法を解説
歯周病は、歯周病菌によって歯の周囲の組織が破壊されていく病気です。進行すると歯がグラグラと動くようになり、治療せずに放置すると歯の脱落につながります。
高齢になってからの病気だと思っている方もいますが、日本人の成人の約8割が罹患している、もしくはその予備軍だと言われるとても身近な病気です。気になるのは、歯周病にかかってしまった場合の治療費用や治療方法ではないでしょうか。
今回は、歯周病治療について、治療費用の相場や治療方法を詳しく解説していきます。
目次
歯周病治療の費用の平均相場
歯周病の進行程度によって、治療方法や治療期間が異なります。歯周病の進行度別に、費用の相場をみていきましょう。
一人一人のお口の状態によっても異なるので、あくまで目安として参考にしてください。
軽度の歯周病
軽度の歯周病は、炎症が歯槽骨にまで波及していない状態です。歯石の除去など、4回程度の通院になることが多いです。
費用の相場は、保険適用の3割負担で5,000円〜1万円程度です。自費治療で行う場合には、1万円〜5万円程度になることが多いです。
中等度の歯周病
炎症が進み、歯槽骨が半分程度破壊されている状態です。治療は歯石の除去をメインに行いますが、歯周ポケット内に歯石が沈着している場合は感染した部分を取り除くのに時間がかかります。
治療は6回以上かかることが多く、3か月から1年程度の期間が必要です。費用の相場は、保険適用の3割負担で1万円〜5万円程度です。自費治療で行う場合には、5万円〜50万円程度と必要な治療回数によって幅があります。治療前に確認しておきましょう。
重度の歯周病
さらに炎症が進み、歯槽骨の多くが破壊されている状態です。治療は徹底した歯石の除去と、必要に応じて外科治療を行います。10回以上の通院が必要になることが多く、治療期間も1年以上になることが多いです。
費用の相場は、保険適用の3割負担で3万円〜10万円以上になります。治療期間が延びるとさらに費用がかかるでしょう。自費治療で行う場合には、20万円以上かかることが多く、さらに高額になることもあります。
歯周病治療は保険適用となる?
歯周病治療は、保険適用の範囲内で可能です。
ただし、保険適用の範囲内の治療では、使用する材料や薬剤、治療法が細かく定められています。1回の診療で行える治療も限られています。
最先端の技術や高品質な材料を使用した治療を行いたい場合などは、自費診療を選択する必要があるでしょう。保険で定められた治療期間にあわせず自由なタイミングで治療をしたい場合、一度に多くの治療を行いたい場合も同様です。
自費診療を選択すると費用が高くなるので、歯科医院で治療内容・費用をよく相談して検討しましょう。
歯周病の基本的な治療の流れと方法
歯周病の治療は進行の程度によって異なりますが、基本は歯周病菌を徹底して除去することを目的にしています。歯周病菌が繁殖しないよう、歯石を徹底して除去し、お口の環境を整えていきます。
歯周病治療の流れと方法について、歯周病の検査、歯周基本治療、歯周外科治療に分けて解説します。
歯周病の検査
はじめに、歯周病の治療計画を立てるための歯周病の検査を行います。歯周病の進行状態を正確に把握し、治療をスムーズに進めるための準備をします。
歯周病の検査で行われる基本的な項目は次の通りです。
歯周ポケットの検査
歯周病が進行するほど、歯と歯ぐきの間の溝である歯周ポケットが深くなります。歯槽骨の破壊が進んでいくためです。
歯周ポケットの検査では、歯周ポケットにプローブという器具を挿入して、歯周ポケットの深さや炎症の有無を調べます。
レントゲン検査
歯槽骨がどの程度溶けているのかを写真で確認することができます。歯周ポケットの検査だけでは分かりにくい骨の状態も、レントゲン検査を合わせることでより正確に判断することができます。
動揺度検査
歯の揺れ具合を測る検査です。歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が溶かされるため、歯がぐらぐらと動くようになります。
歯は、健康な状態でも生理的動揺といってごくわずかな揺れがあります。歯周病が進行している場合や、噛み合わせが強く当たっている場合には、この揺れが大きくなります。
噛み合わせが強いと歯周病が悪化する原因にもなるので、動揺度検査と結果と他の検査の結果を合わせてみることで、しっかりと治療計画が立てます。
歯周基本治療
検査の結果、歯周病だと診断されたら、歯周基本治療を行います。歯周基本治療は、歯周病の進行に関わらず行われる治療です。原因である歯石や歯垢を取り除き、歯の根の表面を滑沢化させ、噛み合わせの調整などを行っていきます。
歯周基本治療を行った後、再び歯周病検査を行います。改善していれば治療は終了して、メンテナンスに移ります。歯周病が改善していない場合には、再び歯周基本治療を繰り返します。
歯周基本治療で行われる内容を、具体的に解説していきます。
ブラッシング指導
歯みがきの方法を細かく指導していきます。歯周病治療を始めても、歯科医院で行う治療だけでは治すことができません。歯周病菌は毎日繁殖しますので、自宅でもしっかりと取り除けるようにしなくてはならないのです。
毎日の歯みがきを効果的にするために、歯科医院ではブラッシング指導を行います。
スケーリング
歯石除去のことを指します。歯石は細菌の集まりである歯垢(プラーク)が唾液の成分により固まったものです。歯周病菌も含まれますが、石灰化しているので歯石自体は悪さをしません。
ただし、歯石がついていることで周囲に歯周病菌が繁殖し、歯周病を進行させる原因になるのでしっかり除去する必要があります。専用の器具を使用して、歯石を残らず取り除いていきます。
ルートプレーニング
歯周ポケットが深くなってくると、歯の根の表面に触れるようになってきます。歯の根の表面がざらざらとしていると、歯周ポケット内に歯周病菌が繁殖しやすくなります。
歯根表面の歯石を除去しながら滑沢にし、歯周病菌が付着しにくい状態にしていきます。感染した歯ぐきの一部なども取り除き、治癒しやすい状態にしていく役割もあります。
歯周外科治療
歯周基本治療で歯周ポケットの深さが改善されず、ポケット内で細菌が繁殖して除去できない状態の場合には、歯周外科治療を行うことがあります。
歯周外科治療では、歯ぐきを切開して歯根表面を露出させて歯石を徹底的に取り除きます。外科的にポケットの深さを減少させたり、失われた骨を再生する骨再生療法を行ったりすることもあります。
歯周病を予防・改善する方法
ここまでで解説してきた通り、歯周病の治療は、症状が進行すればするほど時間も費用もかかり改善が難しくなります。歯周病は早期に気づいて対処することが非常に重要です。
歯周病を予防・改善する方法について解説していきます。
セルフチェック
歯周病はサイレント・ディジーズと言われることがあります。静かなる病気という意味です。
歯周病に罹患しても、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。自覚のないまま徐々に歯周病が進行していき、痛みなどの異常に気づいた時には、すでに中等度〜重度にまで進行していることも少なくありません。
自身の状態のセルフチェックを行うことで、早めに歯周病に気づき受診するきっかけになることがあります。以下の中に当てはまる項目がある場合には、歯周病に罹患している可能性があります。早めに受診するようにしましょう。
- 歯ブラシをする時に血が出る
- 歯ぐきが腫れている
- 歯が伸びたような気がする
- 歯と歯の間の隙間が広くなった気がする
- 朝起きた時に口の中がねばねばする
- 口臭が気になる
- 硬いものが噛みにくい
- 歯がぐらぐらとする
定期検診
前述の通り、歯周病は初期の段階では自覚症状が少ない病気です。定期検診で歯周病検査を受ける習慣をつけましょう。
症状が出る前に歯周病に気づくことができれば、早めに対処して改善できます。初期の段階では4回程度の治療で終わることが多く、継続的にケアすれば進行を防げます。
定期クリーニング
歯周病になっていない場合でも、定期検診とあわせてクリーニングを受けましょう。問題がない方でも、時間の経過と共に歯石が付着していきます。歯石を放置すると歯周病の原因になるので、早めに除去して歯周病を予防しましょう。
正しいブラッシング
歯周病の予防・改善には、正しいブラッシングを行うことが重要です。定期検診・クリーニングを受けていても、毎日の歯みがきが不十分であれば、すぐに歯周病に罹患しやすい状態になってしまいます。治療している場合も改善が望めません。
しっかりと歯周病菌を取り除ける正しいブラッシングができるよう、歯科医院のブラッシング指導を受け、自宅で実践するようにしましょう。正しいケアを毎日継続することが大切です。
まとめ
歯周病の進行程度によって治療の流れが異なります。治療の基本は、歯周病菌を徹底的に除去することです。
歯周病の状態が進行すればするほど、治療は長期間になり治療費も高くなります。初期の段階では自覚症状の少ない病気ですが、早めに対処することが非常に重要です。
歯周病治療を検討されている方は、三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院の院長・副院長は口腔外科出身で、親知らずの抜歯やインプラント治療などを得意としています。虫歯・歯周病治療や矯正治療、入れ歯治療なども行っております。ホームページはこちら、ご予約・お問い合わせもお待ちしておりますので、ぜひご覧ください。