こんにちは。三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」です。

インプラント治療は、カウンセリングから始まって検査、治療計画の立案、一次手術、二次手術を行って治療完了の流れで進みます。

今回は、インプラント治療の流れやインプラント治療に関する注意点をご紹介します。インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

インプラント治療とは？

インプラント治療の流れを理解するためには、まずインプラントがどのような治療なのかを知っておくことが大切です。ここでは、インプラントの基本と、入れ歯・ブリッジとの違いを簡単にご説明します。

インプラント治療の基本

インプラント治療とは、歯を失った部分のあごの骨に「人工歯根（インプラント体）」を埋め込み、その上に人工の歯を装着して歯を補う治療方法です。従来は、歯を失った場合の治療として入れ歯やブリッジが一般的でしたが、近年はインプラント治療を希望される方が増えています。

インプラントは、体になじみやすいチタンなどの素材でできた人工歯根を骨に固定し、その上にセラミックなどで作られた人工歯を取り付けます。骨としっかり結合することで、自分の歯に近い噛み心地を目指す治療です。

入れ歯・ブリッジとの違い

入れ歯は、歯ぐきの上に取り外し式の義歯をのせて噛む力を補う方法です。ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削って土台にし、橋のように連結した人工歯を固定する方法です。

これに対してインプラント治療は、失った歯の部分だけに人工歯根を埋め込むため、両隣の健康な歯を削る必要がありません。また、あごの骨に直接力が伝わるため、噛み心地や安定感の面で利点があります。

インプラント・入れ歯・ブリッジにはそれぞれメリット・デメリットがあり、お口の状態や全身の健康状態によって適した治療法は異なります。カウンセリング時に、他の治療法も含めて比較検討することが大切です。

インプラント治療のメリット

インプラント治療には、入れ歯やブリッジにはない特徴があります。ここでは、代表的なメリットを4つに分けてご紹介します。

天然歯に近い噛み心地を目指せる

インプラント治療は、あごの骨に人工歯根を埋め込むことで、失われた歯の根の役割を人工的に補います。骨としっかり結合することで、噛んだときの力が直接あごの骨に伝わりやすく、自分の歯に近い感覚で噛めることを目指せる治療です。

入れ歯のように「ずれる」「外れる」といった不安が少なく、硬いものもしっかり噛みたい方や、食事をストレスなく楽しみたい方に適した選択肢の一つといえます。

あごの骨や歯ぐきが痩せにくい

インプラントは、チタン製などの人工歯根があごの骨と結合することで支えられます。噛んだときの刺激が骨に伝わるため、入れ歯やブリッジに比べて、あごの骨や歯ぐきが痩せにくいとされています。

歯を失った部分の骨が痩せていくと、口元がしぼんだように見え、老けた印象につながることがあります。インプラント治療によって噛む力を骨に伝えることで、口元のボリュームを保ちやすくなる点もメリットです。

自然な見た目を再現しやすい

インプラントの人工歯（上部構造）には、白いセラミックなどの材料を用いることが多く、天然歯に近い白さや透明感を再現しやすいのが特徴です。

金属のバネが見える入れ歯とは異なり、見た目に違和感が出にくいため、口を開けたときの印象や笑ったときの美しさを重視する方にも選ばれています。

健康な歯を削らずに治療できる

ブリッジ治療では、失った歯の両隣の歯を大きく削って土台にし、その上に連結した人工歯をかぶせます。そのため、健康な歯に負担がかかりやすく、将来的にその歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。

インプラント治療は、失った歯の部分だけに人工歯根を埋め込むため、基本的に周囲の健康な歯を削る必要がありません。独立した1本の歯として機能するため、ほかの歯への負担を抑えやすい点も大きなメリットです。

インプラント治療の流れ

インプラント治療の流れは、カウンセリングから始まり、検査・治療計画、一次手術、二次手術、人工歯の装着、メンテナンスへと進みます。それぞれのステップで何を行うのかを知っておくと、治療のイメージがしやすくなります。

STEP1 カウンセリング（インプラント相談）

インプラント治療は手術を伴うため、まずはカウンセリングでお口のお悩みやご希望を詳しく伺います。現在の症状や気になっていること、治療に対する不安、費用や期間についてのご質問などを、遠慮なくお話しください。

カウンセリングでは、インプラント治療の概要やメリット・デメリット、考えられるリスク、入れ歯やブリッジなど他の治療法との違いもご説明します。そのうえで、インプラント治療が適しているかどうかを一緒に検討していきます。

STEP2 精密検査

カウンセリングの内容を踏まえて、インプラント治療が可能かどうかを判断するために精密検査を行います。インプラントはあごの骨に人工歯根を埋め込む治療のため、骨の状態を正確に把握することが重要です。

検査の内容

お口全体の状態を確認するためのレントゲン撮影や、あごの骨の厚み・高さ・密度、神経や血管の位置を立体的に確認できる歯科用CT撮影などを行います。歯周病の有無や、残っている歯の状態、噛み合わせも丁寧にチェックします。

これらの検査によって、インプラントを安全に埋め込めるかどうか、骨の量が十分かどうか、骨を増やす処置が必要かどうかなどを判断します。

STEP3 治療計画の立案

検査結果をもとに、具体的な治療計画を立てていきます。インプラントを埋め込む本数や位置、使用するインプラントの種類、必要な処置、治療にかかる期間や通院回数、概算費用などをわかりやすくご説明します。

インプラント治療は、人工歯根とあごの骨が結合するのを待つ期間が必要なため、全体の治療期間は数か月以上かかるのが一般的です。また、虫歯や歯周病がある場合は、インプラント手術の前にそれらの治療を優先して行う必要があります。その分、トータルの期間が長くなることもあります。

治療計画の内容にご納得いただいてから、インプラント治療をスタートします。疑問点や不安な点があれば、この段階でしっかり確認しておきましょう。

STEP4 一次手術（インプラント埋入手術）

一次手術では、歯ぐきを切開してあごの骨に人工歯根（インプラント体）を埋め込みます。局所麻酔を行ってから処置を行うため、手術中の痛みはほとんど感じない方が多いです。

一次手術の流れと時間の目安

まず歯ぐきを開いて骨を露出させ、専用のドリルでインプラントを埋め込むための穴を形成します。その後、人工歯根を適切な位置と深さに埋め込み、歯ぐきを戻して縫合します。

手術時間は、インプラント1本あたりおおよそ10〜15分程度が目安です。ただし、埋め込む本数が多い場合や、同時に抜歯や骨を増やす処置を行う場合は、もう少し時間がかかることがあります。

一次手術の後は、人工歯根とあごの骨がしっかり結合するのを待つ「待機期間」に入ります。

STEP5 待機期間（骨とインプラントの結合を待つ期間）

一次手術が終わったら、人工歯根とあごの骨が結合するのを待つ期間が必要です。この期間を経て、インプラントがしっかりと固定され、噛む力に耐えられる状態になっていきます。

待機期間の長さは、あごの骨の状態やインプラントを埋め込んだ部位、全身状態などによって異なりますが、一般的には3〜6か月程度が目安です。骨の状態が良好な場合は、もう少し短くなることもあります。

待機期間中は、必要に応じて仮歯を装着し、見た目や噛み合わせに配慮しながら日常生活を送っていただきます。違和感や痛みなど気になる症状があれば、すぐにご相談ください。

STEP6 二次手術（アバットメント装着）

人工歯根とあごの骨の結合が確認できたら、二次手術を行います。二次手術では、歯ぐきを再度小さく切開し、人工歯根の頭の部分を露出させて、人工歯を連結するための「アバットメント」と呼ばれる部品を取り付けます。

二次手術後の型取り

アバットメントを装着した後、歯型を採って人工歯（上部構造）を製作します。人工歯の色や形は、周囲の歯と調和するように決めていきます。

人工歯が完成するまでの間は、仮歯を装着して見た目や噛み合わせを確保します。仮歯の段階で噛み心地や発音のしやすさなどを確認し、必要に応じて調整を行います。

STEP7 人工歯の装着・治療完了

歯科技工所で製作された人工歯が完成したら、アバットメントの上に装着します。装着後は、噛み合わせや見た目、発音のしやすさなどを丁寧に確認し、必要に応じて微調整を行います。

装着した直後は違和感が少なくても、実際の生活の中で「少し高く感じる」「特定の歯だけ当たる気がする」などの違和感が出てくることがあります。その場合は、遠慮なくお申し出ください。調整を重ねることで、より快適な状態を目指していきます。

人工歯の装着が完了し、問題がなければインプラント治療はいったん完了です。ただし、ここで終わりではなく、この後のメンテナンスがインプラントを長持ちさせるうえで非常に重要になります。

インプラント治療にかかる期間の目安

インプラント治療の流れを知るうえで、多くの方が気にされるのが「治療期間」です。ここでは、一般的な期間の目安と、期間が長くなるケースについてご説明します。

全体の治療期間の目安

インプラント治療にかかる期間は、お口の状態やあごの骨の量・質、全身の健康状態などによって大きく変わりますが、一般的には3〜6か月程度を目安とすることが多いです。

この期間には、一次手術から二次手術までの待機期間や、人工歯を製作する期間も含まれます。骨を増やす処置（骨造成）などが必要な場合は、さらに数か月単位で期間が延びることもあります。

期間が長くなる主な理由

虫歯や歯周病がある場合は、インプラント手術の前にそれらの治療を行う必要があります。歯周病が進行していると、インプラントを支える骨や歯ぐきに悪影響を及ぼすため、まずはお口全体の環境を整えることが優先されます。

また、あごの骨の量が不足している場合には、骨を増やす処置を行ってからインプラントを埋め込むことがあります。その場合、骨が安定するまでの待機期間が必要になるため、全体の治療期間は長くなります。

インプラント治療は、焦らずに一つひとつのステップを丁寧に進めることが、長期的な安定につながります。治療期間の目安は、検査結果と治療計画の説明時に、できるだけ具体的にお伝えします。

インプラント手術の痛みと麻酔について

インプラント治療の流れの中で、多くの方が不安に感じるのが「手術の痛み」です。ここでは、インプラント手術時の痛みの感じ方や、使用する麻酔、術後の痛みや腫れについてご説明します。

手術中の痛みについて

インプラントの一次手術・二次手術はいずれも局所麻酔を行ってから処置を行います。麻酔がしっかり効いている状態で手術を進めるため、処置中に強い痛みを感じることは少ないとされています。

骨を削るときの振動や、器具の音などは感じますが、「痛みが怖い」という方にもできるだけ安心して受けていただけるよう、声かけをしながら進めていきます。

術後の痛み・腫れ

手術後は、麻酔が切れてくると鈍い痛みや違和感を感じることがあります。多くの場合、処方された痛み止めを服用していただくことで、日常生活に支障のない程度に抑えられます。

腫れについては、手術の範囲や骨を増やす処置の有無などによって個人差があります。骨造成などを同時に行った場合は、腫れが出やすくなることがありますが、数日〜1週間ほどで落ち着いてくることが一般的です。

術後は、細菌感染を防ぐための抗生物質などのお薬をお出ししますので、指示どおりに服用してください。痛みや腫れが強くなったり、長引いたりする場合は、早めにご連絡いただくことが大切です。

インプラント治療の注意点とリスク

インプラント治療には多くのメリットがありますが、外科手術を伴う治療である以上、注意すべき点やリスクも存在します。ここでは、代表的な注意点を整理してお伝えします。

骨とインプラントがうまく結合しない可能性

インプラントは、あごの骨としっかり結合することで安定します。

しかし、骨の量や密度が不足している場合や、全身の健康状態・喫煙習慣などの影響により、まれに骨との結合が十分に得られないことがあります。

その場合、インプラントがぐらついたり、最終的に撤去が必要になったりすることもあります。こうしたリスクをできるだけ減らすために、歯科用CTやレントゲンによる精密検査を行い、骨の状態を事前にしっかり確認することが重要です。

歯周病菌への感染に注意が必要

お口の中に歯周病がある状態でインプラント治療を行うと、歯周病菌がインプラント周囲に広がり、炎症を起こすリスクが高くなります。インプラントの周りの歯ぐきや骨に炎症が起きる状態を「インプラント周囲炎」と呼びます。

インプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支えているあごの骨が溶けてしまい、最悪の場合インプラントが脱落することもあります。そのため、インプラント治療の前に歯周病の有無を確認し、必要があれば先に歯周病治療を行うことが大切です。

治療後も、毎日の歯みがきや歯間ブラシ・デンタルフロスを使ったセルフケア、歯科医院での定期的なクリーニングを続けることで、インプラント周囲炎のリスクを抑えることができます。

その他の注意点

インプラント手術後は、一時的に腫れや痛み、出血が出ることがあります。また、下あごの奥歯部分では、神経に近い位置にインプラントを埋め込むため、まれに一時的なしびれが生じることがあります。

こうしたリスクを踏まえたうえで、事前に十分な説明を受け、納得してから治療を受けることが大切です。気になる点があれば、カウンセリングの段階でしっかり確認しておきましょう。

インプラントを長持ちさせるメンテナンス

インプラント治療は、人工歯を装着したら終わりではありません。治療後のメンテナンスをしっかり行うことで、インプラントをできるだけ長く快適に使い続けることができます。

定期検診・プロフェッショナルケアの重要性

インプラントの周囲には、天然の歯と同じように歯垢や歯石がたまります。お口の清掃が不十分な状態が続くと、インプラント周囲の歯ぐきに炎症が起こり、インプラント周囲炎へと進行することがあります。

インプラント周囲炎が悪化すると、歯ぐきが下がったり、インプラントを支える骨が溶けてしまったりして、最悪の場合インプラントが脱落することもあります。

こうしたトラブルを防ぐために、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けることが大切です。定期検診では、インプラントや周囲の歯ぐき・骨の状態をチェックし、専用の器具を使って歯垢や歯石を丁寧に除去します。

毎日のセルフケアのポイント

歯科医院でのメンテナンスに加えて、患者様ご自身による毎日のセルフケアも欠かせません。インプラントの周りは汚れがたまりやすいため、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスなどを併用して丁寧にお手入れを行うことが重要です。

治療後には、インプラント周囲の磨き方や、適した清掃用具の選び方についてもご説明します。わからないことや不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

まとめ

インプラント治療は、カウンセリング・精密検査・治療計画の立案、一次手術・待機期間・二次手術、人工歯の装着、そして治療後のメンテナンスという流れで進みます。虫歯治療と比べるとプロセスが多く、治療期間も数か月単位でかかるため、あらかじめ全体の流れを理解しておくことが大切です。

インプラント治療は、自分の歯に近い噛み心地を目指せる、見た目が自然、周囲の健康な歯を削らずに済むなど、多くのメリットがある一方で、骨との結合がうまくいかない可能性や、インプラント周囲炎などのリスクもあります。

こうしたメリットと注意点の両方を理解したうえで、精密検査をしっかり行い、十分な説明をしてくれる歯科医院で治療を受けることが重要です。また、手術が終わったあとも、定期的なメンテナンスと毎日のセルフケアを続けることで、インプラントをできるだけ長く快適に使い続けることにつながります。

インプラント治療の流れや期間、費用、リスクなどについて詳しく知りたい方は、三重県伊賀市にある歯医者「SPT 矢谷歯科口腔医院」にお気軽にご相談ください。

当院の院長・副院長は口腔外科出身で、親知らずの抜歯やインプラント治療などを得意としています。虫歯・歯周病治療や矯正治療、入れ歯治療なども行っております。

当院は、地元の伊賀市だけでなく、名張市・亀山市・津市からも多くの患者様にご来院いただいております。歯に関するお悩みはぜひお気軽にご相談ください。ホームページはこちら、ご予約・お問い合わせもお待ちしております。公式Instagramも更新しておりますので、ぜひチェックしてみてください。