コラム
虫歯予防にフッ素が効果的な理由!フッ素塗布の流れや頻度を解説!
こんにちは。三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」です。
フッ素塗布は、虫歯予防に効果があるとされています。乳歯が生え揃う時期や永久歯へと生え変わる時期は、特に虫歯にならないように予防することが重要です。歯科医院や学校の検診でフッ素塗布を勧められた方もいるのではないでしょうか。
しかし「フッ素を口の中に入れて大丈夫なの?」「本当に効果があるの?」など、不安に思う方も多いです。どのくらいの費用がかかるのか、どのような流れで施術が進むのか、疑問に思う方もいるでしょう。
今回は、虫歯予防にフッ素が効果的な理由や、フッ素塗布の流れ、フッ素塗布の費用などを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
虫歯予防にフッ素が効果的な理由
虫歯予防にフッ素が効果的な理由は、以下のとおりです。
- 虫歯菌の増殖を抑制する
- 再石灰化を促進する
- 歯の質を強くする
それぞれ解説します。
虫歯菌の増殖を抑制する
フッ素を塗布することで、虫歯の原因となる細菌の働きが弱まります。虫歯になりにくい口腔内環境を保つことに繋がるでしょう。
通常、口内には多くの細菌が存在しています。虫歯の原因になる歯垢(プラーク)は、虫歯菌の集合体です。歯垢1mgの中には、約1億もの細菌がいるといわれているのです。
虫歯は、細菌の増殖と酸が発生する、脱灰が起きるという過程を経て生じます。
細菌の増殖と酸の発生
糖分を含んだ食物を摂取すると、口内の細菌が増殖して酸を産生します。
脱灰
産生された酸が、歯の表面のエナメル質の成分である、リンやカルシウムを奪う段階です。歯の表面が溶け始めるでしょう。脱灰の状態では、まだ歯の表面に穴は空いていません。
虫歯発生
脱灰が進行すると、エナメル質に穴が空き虫歯が発生します。
虫歯を予防するためには、虫歯菌の増殖を防ぐことが大切です。フッ素を塗布することで、虫歯の原因となる細菌の活動を抑制できます。
再石灰化を促進する
糖分を含んだ食べ物を摂取すると酸が発生し、脱灰が起きて虫歯が発生するとご説明しました。
脱灰が始まって虫歯になりかけた歯の表面が、もとに戻ることを再石灰化といいます。唾液にもともと備わっている働きですが、定期的にフッ素を塗布することで、再石灰化を促進できるでしょう。
歯の質を強くする
歯の表面のエナメル質は、カルシウムとリン酸、水酸基という3種類のイオンの結晶で構成されています。エナメル質を構成する結晶は、酸に弱く壊れやすいです。 しかし、フッ素が加わると酸に対して強い安定した結晶になります。エナメル質が強くなるため、虫歯になりにくくなるのです。
歯科医院でのフッ素塗布の流れ
歯科医院でのフッ素塗布の流れは、以下のとおりです。
- 歯面を清掃する
- 綿を設置する
- 歯の表面を乾燥させる
- フッ素を塗布する
- 余分なフッ素を拭き取る
- 口内に入れた綿を除去する
歯の表面に歯垢が付着した状態でフッ素を塗っても、十分な効果が発揮されません。そのため、歯ブラシや電動ブラシなどを使って歯の表面の汚れを落とします。
虫歯予防にはふだんの歯磨きも重要なので、歯垢を染め出して磨き残しを確認し、ブラッシング指導を行う場合もあるでしょう。
次に、口内の唾液でフッ素が流れないように、綿などを頬の粘膜や舌などに置きます。唾液が多い場合は都度交換しながら、歯の表面を乾燥させるのが一般的です。
歯の表面が乾燥したら、フッ素を素早く塗ります。余分なフッ素がある場合は、軽く拭き取られるでしょう。
綿を取り出して、フッ素の塗布は完了です。
フッ素塗布後の注意事項
フッ素塗布直後、口内に溜まった唾液は吐き出します。フッ素が流出しないよう、うがいはしないことが多いです。
塗布後1〜2時間程度は、うがいや飲食を控えるよう指示されるのが一般的でしょう。
どれくらいの頻度でフッ素塗布を受けると効果的?
フッ素塗布は、2か月に1回程度の頻度で行うと虫歯予防に効果的です。乳幼児に年6回フッ素塗布を行うことで、乳歯の虫歯数が減少し、虫歯がまったくない3歳児の割合が増加したという研究もあります。
歯が生え始めた生後6か月頃から15歳までのこどもには、定期的にフッ素を塗るとよいでしょう。生えてきたばかりの歯は、虫歯になりやすいためです。
歯が生え始めたタイミングや、乳歯から永久歯に生え変わる時期など、歯の形成時期で歯の質が柔らかい時期にフッ素を塗布すると効果的です。フッ素を取り込みやすいため、十分な効果を発揮できるでしょう。
フッ素塗布の費用
フッ素塗布の費用は、1,000〜3,000円程度が相場です。虫歯を予防する目的で健康な歯にフッ素を塗布する場合、治療と扱われないため保険が適用されません。
自費診療になるので、歯科医院によって費用が異なります。気になる場合は、歯科医師に相談するとよいでしょう。
ふだんの歯磨きにもフッ素を取り入れよう!
虫歯予防には、歯科医院でフッ素を塗布してもらうことはもちろん、ふだんの歯磨きにフッ素を取り入れることも重要です。
フッ化物洗口
フッ化物洗口とは、低濃度のフッ素入り溶液を口内に少量含み、うがいをする方法です。生えてきたばかりの歯の虫歯予防として効果的といわれています。
フッ化物洗口の頻度は、年齢などによって異なります。お子さまに適した頻度で行いましょう。
毎日法
低年齢の小児(保育園児や幼稚園児)を対象に、低濃度(225pm程度)のフッ素溶液で毎日うがいする方法です。1回の洗口液量は約5〜7ml、ペットボトルのキャップ1杯程度の分量で行います。
週1回法
毎日法の4倍のフッ素濃度(900ppm程度)のフッ素溶液を使い、週1回うがいを行う方法です。主に、小学生以上のこどもに行います。
1回の洗口液量は10mlで、ペットボトルのキャップ2杯程度の分量です。
フッ素入り歯磨き粉
フッ素入り歯磨き粉の使用も、虫歯予防に効果的です。フッ素入り歯磨き粉の使用は、お子さまだけでなく大人の虫歯予防としても効果的でしょう。
使用する歯磨き粉のフッ素濃度の目安は、以下のとおりです。
<フッ素濃度の目安>
対象者 | フッ素イオン濃度 |
---|---|
小学生〜成人 | 15,000ppm以下 |
就学前のお子さま | 500〜950ppm |
お子さまの場合、生えたばかりの乳歯や永久歯は特に虫歯になりやすいです。大人の歯よりも溝が深いことが多く、歯の噛み合わせの溝が虫歯になる可能性も高いでしょう。
そのため、フッ素入りの歯磨き粉を日常的に使用することが大切です。
歯磨き粉の使用量
以前は、うがいをできるようになる3歳頃から歯磨き粉を使用するよう推奨されていました。
しかし、現在は歯が生え始めた生後6か月から歯磨き粉を活用することが推奨されています。歯磨き粉に含まれるフッ素の量をコントロールすれば、小さい頃から使っても問題ないと判断されたのです。
歯磨き粉の使用分量を守ることが、安全に歯磨き粉を活用するためには大切です。うがいができない2歳頃までのお子さまは、誤って飲み込んでも危険性が少ない泡状の歯磨き粉を活用するとよいでしょう。
<歯磨き粉の使用量>
年齢 | 適正使用量 | フッ化物濃度 |
---|---|---|
歯の萌出〜2歳 | 1〜3mm程度 | 500ppm |
3〜5歳 | 5mm以下 | 500ppm |
6〜14歳 | 1cm程度 | 1,000ppm |
15歳以上 | 2cm程度 | 1,000ppm |
まとめ
フッ素を活用すると、歯の質が強くなる、虫歯菌の働きを弱めるなど、虫歯予防に効果的です。溶けた歯をもとの状態に戻す再石灰化を促す作用もあるので、特に虫歯になりやすいお子さまにはフッ素塗布を行うべきでしょう。
歯科医院で使用するフッ素は、濃度が高いので2か月に一回程度の頻度で受けてください。虫歯予防には、ふだんの歯磨きにもフッ素を取り入れることが重要です。 フッ化物洗口を行う、フッ素入り歯磨き粉を使用するなど、日常的にフッ素を使用して歯をケアしましょう。
フッ素を活用した虫歯予防を検討されている方は、三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」にお気軽にご相談ください。