コラム
親知らずが埋まっている場合は放置しても大丈夫?痛み・腫れはある?
こんにちは。三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」です。
親知らずは、前から数えると8番目に生える歯で、医学的には第三大臼歯とよばれます。生える時期は人それぞれで、10代後半から20代前半にかけて生える場合が多いです。
親知らずは、歯列の最も奥に上下左右あわせて最大4本生えます。顎のスペースが小さいために埋まっており、視認できないケースもあるでしょう。もともと4本揃っていない人もいます。
今回は、親知らずの生え方や、放置しても大丈夫なのか解説します。抜歯後のケアなども解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
親知らずの生え方
親知らずの生え方は、以下のとおりです。
- 真っ直ぐに生える
- 横向き、斜めに生える
- 骨の中に埋まっている
- 逆向きに生えている
真っ直ぐ生えた場合、痛みなどのトラブルが少なく、抜歯の必要性がないケースが多いです。
しかし、ほかの生え方の場合、親知らずが一部、またはすべて歯茎に埋まっていて、親知らず自身や周辺の組織に問題を起こす可能性があるでしょう。
親知らずが埋まっている場合は放置しても大丈夫?
埋まっている親知らずを放置すると、以下のリスクがあります。
- 虫歯や歯周病になりやすく、進行しやすい
- 歯の根が溶ける
- 親知らずの周囲に嚢胞が生じる
リスクを理解することは、ご自身の状態を把握し、適切な対策を講じるために重要です。それぞれのリスクについて詳しく解説します。
虫歯や歯周病になりやすく、進行しやすい
親知らずが埋まっている場合、放置すると虫歯や歯周病になりやすいです。親知らずは歯列の最も奥に生えるため、歯磨きが難しく食べカスや細菌が溜まりやすいためです。
親知らずが虫歯になると、隣にある第二大臼歯まで虫歯が進行する可能性もあるでしょう。
歯の根が溶ける
親知らずが埋まっている場合、放置すると歯の根が溶けるリスクがあります。親知らずが埋まっていると、ほかの歯の根や顎の骨に圧力をかけるからです。
歯根吸収は圧力が原因で起きる場合が多いとされています。歯根吸収が進むと、歯がグラグラするなどの症状が現れるでしょう。硬いものを食べにくいなど、生活の質に大きく影響を与えます。
親知らずの周囲に嚢胞が生じる
嚢胞とは体内に発生する袋状の病変です。放置すると徐々に大きくなり、周りの組織に痛みや不快感などの悪影響を及ぼします。
嚢胞の中では細菌が繁殖しやすいため、感染症のリスクも高まるでしょう。
埋まっている親知らずが原因で痛む・腫れることはある?
埋まっている親知らずが原因で痛む・腫れることはあります。智歯周囲炎(ちししゅういえん)になっていることが原因の場合と、歯性感染症になっていることが原因の場合が多いです。
それぞれの原因を解説します。
智歯周囲炎
智歯周囲炎は、親知らず周辺の歯肉に炎症が起きた状態です。歯磨きが難しく、汚れが溜まりやすいため引き起こされます。
智歯周囲炎では、歯の痛みや歯茎の腫れなどの症状が現れます。発熱する場合や、リンパが腫れて顔も腫れる場合などもあるでしょう。
歯性感染症
虫歯や歯周病、智歯周囲炎が悪化すると、細菌感染がさらに広がり、最終的には歯性感染症を引き起こす可能性があります。
歯性感染症は、虫歯や歯周病、智歯周囲炎と比べて、範囲が広いのです。具体的には、歯の神経を通じて、顎や周辺の筋肉、顔全体にまで影響を及ぼします。
歯性感染症では、発熱やリンパの腫れなどの症状が現れるでしょう。開口障害や嚥下障害を引き起こすこともあります。
埋まっている親知らずを抜歯する流れ
埋まっている親知らずを抜歯する流れは、以下のとおりです。
- CTやレントゲンで神経、血管の位置を確認する
- 麻酔をする
- 親知らずを抜歯する
- 止血と縫合を行う
- 消毒する
- 抜糸する
それぞれ解説します。
CTやレントゲンで神経、血管の位置を確認する
親知らずの抜歯は、一般的な抜歯よりも複雑です。周囲の神経や血管を損傷するリスクがあります。
CTやレントゲンを使用して神経や血管の位置を正確に把握し、リスクを最小限に抑える必要があるでしょう。
麻酔をする
麻酔によって、抜歯中の痛みを抑えます。親知らずの抜歯は複雑なので、痛みも強い可能性が高いです。
局所麻酔(浸潤麻酔)を行って、治療の痛みを軽減します。抜歯する部位の近くに注射して、治療部位だけに作用させます。
親知らずを抜歯する
埋まっている親知らずを抜歯する場合は、歯肉を切開剥離して、親知らずを細かく分割しながら取り出すのが一般的です。
真っ直ぐ生えている親知らずは通常の抜歯と同様に行えますが、斜めや横向きに生えている場合、上に引っ張るだけでは抜けません。歯根の向きに合わせて抜く必要があります。
止血と縫合を行う
親知らずの抜歯後の止血と縫合は、治癒過程を安全に進めるために重要です。止血剤を抜歯した部位に入れる、抜歯した部位を縫合するなどして、止血処置を行います。
縫合では糸を使い、治療で空いた穴を閉じて傷口の感染を予防します。
消毒する
抜歯後は、細菌の侵入を防ぐために消毒を行うのが一般的です。抜歯した次の日に来院してもらい、消毒することが多いでしょう。
消毒に加えて、傷口の状態を確認します。
抜糸する
親知らずの抜歯後、1〜2週間後に抜糸を行います。糸をそのまま放置すると、糸の周囲が不潔になりやすいです。傷口がふさがったら、必ず歯科医師に抜糸してもらいましょう。
親知らず抜歯後の注意点
親知らず抜歯後の注意点は、以下のとおりです。
- 抜歯直後は圧迫止血をする
- 痛み止めを服用する
- 喫煙や飲酒、激しい運動を控える
- 指や舌で患部を触らない
- 麻酔が切れるまでは、熱いものや刺激物を口にしない
- 患部を冷やし過ぎない
- うがいを繰り返さない
それぞれの注意点について詳しく確認しましょう。
抜歯直後は圧迫止血をする
止血を促進させ、傷の治りを早くするために行います。親知らずの抜歯直後、清潔なガーゼで10~20分ほど患部を圧迫するように噛んで止血します。
傷口より少し大きめに硬く丸めたガーゼをしっかりと傷口に乗せ、上下の歯をしっかりと噛み合わせてください。
痛み止めを服用する
埋まっている親知らずの抜歯は、歯茎を切開して行う外科手術です。親知らずの生え方によっては、顎の骨を削る場合もあるでしょう。
抜歯後の痛みは避けられません。痛み止めを使用すれば、抜歯後の痛みを軽減できます。
喫煙や飲酒、激しい運動を控える
飲酒や激しい運動は、血流を促進するため、傷口から出血するリスクが高いです。喫煙は、血流を滞らせるので、傷の回復が遅くなる可能性があるでしょう。
タバコの煙に含まれるニコチンは、毛細血管を収縮させて血流を悪化させるため、傷の回復が遅れるのです。アルコールには、血管を拡張させる作用があります。血管が拡張すると出血しやすいので、傷の回復が悪くなります。
喫煙や飲酒、激しい運動をしてよいかどうかは自己判断せず、歯科医師の指示に従ってください。
指や舌で患部を触らない
指や舌で患部を触ると、傷口が開き、細菌に感染しやすいです。傷の治りが遅くなる場合があるので、避けてください。食事中や歯磨き中も、患部に刺激を与えないように注意しましょう。
麻酔が切れるまでは、熱いものや刺激物を口にしない
麻酔が効いている間は、感覚が鈍くなっています。温度がわからず火傷する可能性があるため、麻酔が切れるまでは熱いものや刺激物を控えましょう。
辛いものや酸っぱいものなどの刺激物は、傷口の治癒を遅らせる可能性があります。
患部を冷やし過ぎない
腫れや痛みを和らげるためには、患部を冷やすのは非常に有効です。
しかし、冷やしすぎると血行不良になります。傷の回復が遅くなるので、濡れたタオルなどで冷やしましょう。保冷剤や氷など、温度が低すぎるものは避けてください。
うがいを繰り返さない
親知らずの抜歯後、傷口を保護する役割を果たす血の塊(血餅)が形成されます。血餅は傷口を保護し、治癒を促進します。
しかし、強くうがいをした場合や頻繁にうがいをした場合、血餅が剥がれる危険性があるのです。親知らず抜歯後は、口内に水を含んで吐き出す程度にしてください。ブクブクうがいなどは行わないようにしましょう。
まとめ
埋まっている親知らずを放置すると、虫歯や歯周病、智歯周囲炎の原因になります。悪化すると歯性感染症になり、顔全体にも悪影響を及ぼすでしょう。
埋まっている親知らずの抜歯は外科手術を伴うため、恐ろしいと感じる方も多いです。
しかし、放置することで細菌に感染すると、抜歯以上の痛みを伴うかもしれません。放置することで悪影響を与える可能性があると判断された場合は、親知らずを抜歯してもらいましょう。
親知らずの治療を検討されている方は、三重県伊賀市にある歯医者「矢谷歯科医院」にお気軽にご相談ください。